北関東支部からの講師依頼は良い勉強になりました。
シニア産業カウンセラー M. Y.
◆ 研修で最初にチェックしたいのはどのような人達が対象者か?
参加される方々は企業の経営陣層、管理・監督職、一般従業員、興味を持って集まった方々などいろいろで、それぞれによって出席者の期待されるものは違ってきます。
一般従業員にCSRの話をしてもあまり興味は持ってくれません。自分のストレスをどうするのかが焦点になります。逆に企業の経営陣層にはセルフケアではなく、CSRやリスクマネジメントの話でなければ聞いてもらえません。
◆ まず、出席者が何を求めているのか?
事前に主催者担当者とお会いしてその辺の状況を把握し、こちらの話したい内容との整合を保つ必要があります。
◆ 事例(1)
昨年、メンタルヘルス推進支援(厚労省の事業)である企業で研修をしました。最初は4,50名程度のライン研修とのことでした。そのつもりで準備しておりましたら、2、3日前に一般職も含めて120名という話になり、当日は200名出席しました。時間中に研修をするのならそれは業務であるから全員出席を義務付けるということで、事業場の役員から受入れ派遣社員も含めてすべてということになり、狭い部屋に立錐の余地もないほどの椅子だけの空間で話をしました。もちろんグループを作って話し合いをすることもできず、焦点がぼやけた研修になってしまいました。事務局としては、何とかメンタルヘルスについて社内啓発を図りたいという一心だったのだと思うのですが。
学んだこと:主催者の研修会の目的を確認とその効果を伝えること。
◆ 事例(2):アクシデント、ハプニングにどう対応するか。
ある労働組合の研修でのことです。山里の研修所を借りての組合幹部の会議の中での研修でした。事前に打ち合わせをしておりましたので安心して会場に臨んだのですが、プロジェクターの用意がありませんでした。一瞬頭が真っ白になりました。事務局は謝りはしましたが状況が変わることはありません。レジメは用意しましたが、私は皆の眼がレジメに向かないようにと最低限必要なことしか記さないことにしております。結局は流れに沿って一部板書しながら何とか終わりました。参加者は事情を知りませんから少々不満もあったようでした(後でも主催者側からは丁重なお詫びはいただきましたが)。
学んだこと:作った資料だけに頼らず、他の方法でも(特に原稿なしでも)話ができるように、常に準備しておくこと。
◆ 事例(3):質疑応答にどこまでこたえるか
某自動車メーカー労働組合に傾聴研修で出かけたときのことです。この組合は傾聴研修だけで5時間もかけるという大変熱の入った取組みをしております。土曜日に2回行ったのですが、休日に希望者だけ出席ということでその分参加者の熱意は大変のものでした。話やグループのロールプレイ、全体シエアの時も非常によくメモを取っていることに驚きました。これまであんなにメモを取る参加者は経験したことがありませんでした。こんな集団もあるのだと驚きでした。
最後のミーテイングでは傾聴以外の事柄、たとえばメンタル不全への対応(特に職場復帰者への係わり方)とか、メンタル不全者に対するカウンセリングの効果、リスクマネジメントなど、非常に広範囲にわたる質問がありました。ここは「傾聴の研修です」と割り切れない状況でしたので一応の回答はしました。もし傾聴だけの質問にしてくれなどというような対応をしたら次回からは研修の依頼は来なくなるでしょう。
学んだこと:時間をきちっと守ること(2,3分の前後もダメ)。改めて意識させられたものでした。また、質問も広範囲にあるということがわかりました。
メンタルヘルスといっても内容は、
等など非常に広い領域にまたがっています。
メンタルヘルス研修をするためには出来る限りこれらのことについて基本的なこと、現状、関連法規(訴訟事件なども含めて)などを押さえておく必要があります。
また昨今は世間がメンタルヘルスに非常に関心を持って来ており、各種の報告書や情報が続々と発表・発信されております。これらには常に目を通して、自分の情報フアイルは常に最新のものにしておく必要があります。
社会情勢が予想もできない方向へ激しく変化する時代には、メンタルヘルスに関する情報を必要としている組織はますます増加してゆくでしょう。そのような組織への支援をこれからも続けてゆきたいものです。